元気センター解体費6500万円に反対する理由

 2022年2月1日の臨時会最終日にて、私は掲題の「元気センター新築のための旧ハローミヤ店舗解体費6500万円」補正予算に反対しました。解体費6500万円を削った修正案を支持しました。


町民のみなさまの間にいろいろな意見があることは十分承知しているつもりですし、そのうえでの総合的判断として上記のような決断に至りました。その理由を説明します。


議論と合意形成を軽視する町長の独善

当たり前のことですが、町が行う事業の財源はすべて税金です。民間のオーナー社長事業者が出資決断するプロセスと根本的に異なります。


町(行政)が計画する事業は全て「必然があるか」「妥当な金額か」が議会によって厳しくチェックされます。議員は、時間をかけて町民の声を聞いたり、過去の事例や他町村の先例を調査したり、議員同士で議論したりと、それなりの時間をかけて判断を下します。


旧ハローミヤを町(行政)が買収したのは前町長の時代でした。3300万円で1000坪の土地と建物です。買収の目的は、城山にある老人福祉センターの老朽化による、代わりの新しい施設を作りたい、というモノでした。買収する際に「建物をリフォームして使うから今後発生する費用は安く済む」と町(行政)は主張し、議会に理解を求め結果的に承認されました。


つまり、この件はもともと老朽化した老人福祉センターの代替施設、ということでスタートしたのです。その後町(行政)のいつもの手法として町民を集めた「検討委員会」が作られました。


この「検討委員会」なるもの、まったく問題がないわけではありませんでした。検討委員会は何を目的に議論するのか、町(行政)がきちんと明示しなかったのは大きな失政だと思います。うがった見方をすれば「あえて、作為的に」目的を定めなかったのではないか?と疑いたくなるほどです。


実際に検討委員会の議事録を読むと、委員自らが「この委員会の意義は何か」と疑問を呈している場面もありました。意義をめぐって委員会は混迷を極めた挙句、数人の委員が辞職してしまう、という経緯もあったようです。


当初は老人福祉センターの代わりの施設、というハナシでしたが、なぜか旧北名子保育園を拠点に活動する福祉団体数件も元気センターに取り込むことになりました。その理由は旧ハローミヤの土地と建物を買う時に使った国の補助金が原因のようです。


この補助金、「複数の公共施設を1つに統合集約することで行政の負担を軽くする」ことが目的なら、半額近くを国が支払うよ、というモノです。この条件を満たすためには、老人福祉センター単独ではダメなのです。どうしてももう一つ以上の施設を巻き込む必要があるのです。そんな経緯で、旧北名子保育園の福祉団体も協議に加わるようになります。


業者からリフォームの設計案が出されます。約2億円です。金額が妥当かどうかは別にして、この設計案にケチが付きます。老人福祉センター以外の福祉団体も数多く利用することになってしまったので、委員会から「狭い」と文句が出ます。考えてみれば当たり前の結論です。


その声を待っていたかのか知りませんが、町はある試算を委員会に提示します。(1)「旧ハローミヤの店舗をリフォームした場合」と、(2)「旧店舗を解体して新築した場合」を比較すると、長い目で見れば(2)の新築のほうが安上がりだというのです。


委員会にしてみれば、リフォーム案は「狭い」と不満があったので、当然この話に飛びついたのだろうと思います。施設はピカピカの新築になる。広くなる。安い。断る理由はありません。委員会は新築の方向で議論を進めるようになります。


しかし、この試算に大きな問題がありました。解体の見積もり金額が、かなりいい加減だったようです。この試算では旧店舗の解体費を1900万円と見積もっていました。この1900万円という数字は、業者に料金を払ってきちんと正確に見積もってもらったものではなく、他の業務のついでに業者が超々概算として無料サービスで出した程度の数字だったようです。


その後委員会では新築することを前提に、どんな建物にしようかという話題が議論の中心になっていきます。ちょうど1年前の2021年1月、町は議会に対し「新築で進めることに決めた」と報告します。我々議会も解体費1900万円の前提で決定を聞かされましたので、委員会と同じように、ピカピカの新築。広い。安い。と感じました。否定する理由はありません。


町はその後、2021年9月から12月にかけて新築を担当する業者の選定を行いました。この選定過程は別の意味で大いに問題がありますが、本論の趣旨からはわき道にそれますので、ここでは触れません。選定は終わり年末に業者が決まりました。


町としてみれば、新築で行くことは議会がOKした。業者も決まった。次は旧店舗を解体して更地にしようと考えました。解体費用を本気で見積もったらなんと6500万円だった。今まで1900万円を前提で話を進めてきてしまった。さぞ慌てたのではないかと思います。


この時点で、町は自治体として行政として誠実に行動すべきだったと思います。見積金額が大きく狂ってしまった。リフォーム案と比較した時の比較根拠もつじつまが合わなくなってしまった。解体費1900万円だったから新築案の方が安上がりだったのに、6500万円となると、そうも言えなくなります。


町は、議会や検討委員会に相談すべきでした。6500万円かけて解体すべきなのか、それとも元のリフォーム案を再検討すべきなのか。旧北名子保育園の福祉団体はどう参加するべきなのか。いろいろな前提をすべて見直すことになります。


それは、今まで費やした時間や労力が全て無駄になってしまう、ということです。当然町は強い批判にさらされることは覚悟しなければなりません。でも、元から進め方が杜撰だったのは否めません。この機会に恥をさらしてもすべてを打ち明け、誠心誠意に行動するのが税金を預かる行政の責任だと思っています。


しかし、今回町はそういう行動をとりませんでした。しれっと、さも何事も無いように解体費6500万円を要求してきたのです。我々議会には寝耳に水です。町長の言い分は「1年前に議会は新築をOKした」から、解体費を認めろ、という支離滅裂なものです。


先にも書いたように、議会が新築を認めたのは、「リフォームより安い」と報告を受けていたからです。今にして思えば議会側にも責任がないとは言えません。「リフォームより安い」という行政の説明を頭から疑ってかかり、徹底的に積算資料を調べ上げ、自分でも試算し場合によっては議会独自で業者に解体費用を見積もらせる、などといった犯罪捜査のような証拠調べをすれば、こんな事態は回避できたかもしれません。


言い訳に過ぎませんが、議会も行政をある程度は信用して日常の審議を行っている面があります。お互いの信頼関係がないと、何でもかんでもたとえ1円の出費でも行政を徹底的に追求して証拠調べをしなければなりません。議会の取り調べの相手となる行政職員も仕事になりません。


今回は議会のみならず、町民がメンバーの検討委員会が存在していますので、町側は虚偽の情報で町民を欺いたり金額をごまかすようなことはできないだろうという思い込みがあり、町の報告を信頼していたという面もあったと思います。甘いと言えば甘いかもしれません。


ともあれ、今回の町のやり方は許しがたく、6500万円が妥当かどうかの議論を抜きに、議会で採決しろとという町長の要求はあまりにも独善で傲慢です。到底賛同できません。以上が私が今回反対した理由です。